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ダブルベッド day1

 

 

同棲企画1日目。
もしあなたと健人くんが"ダブルベッド"に出演したら。

 

 

 

 

 

 

 


𓂃𓈒𓏸 DAY 1

 

 

高校の頃からやってきた女優さんのお仕事が、漸く芽の先をちょっぴり出して。最近では、主人公の友達という脇役だけど、なんと連ドラにも出させて頂いたり。
そんな中で新たに貰ったお仕事、それは、

 

 

『7日間、かあ.........』

 

 

わたしは今日からこの部屋で1週間、初対面の男性と同棲する。トイレと目の前の廊下以外にはカメラがあって、......しかも夜はダブルベッド、なんて。.........いったいどんな1週間になるんだろう。

 


お洒落すぎるリビングにどーんと置かれた白いソファに身を委ねれば、一抹の不安を掻き消すように1人よし、と呟いた。

 

 

" お邪魔します、......ん?お邪魔しますであってるのかな "

 


耳を擽る少し高いあまめの声。声的に同世代くらいに聞こえて。その答え合わせは勿論すぐ。

 

 

『えっ......、あ、は、初めまして!』
「初めまして、中島健人です」
『○○です、よろしくお願いします』
「こちらこそ7日間よろしくお願いします」

 

 

座ろっか、と微笑むその顔はテレビや雑誌で見慣れた顔で。まさか、ジャニーズの人だとは思わなかった。それもあまり詳しくないわたしでも知ってるような有名な人。
...ますますどんな7日間か想像つかないや。

 

 

「やば、すごい緊張してる」
『えっ、全然そう見えないです』
「今実は心臓ばくばくだからね(笑)」
『ふふ、わたしもです』
「えっと、え、なんて呼び合う?」
『○○って本名なのでお好きに全然、はい、』
「じゃあー...、早く仲良くなりたいから○○って呼ぼうかな」
『わたしは、ん、と、健人さん......?』
「えー!健人くんがいい!あと敬語なし!」
『分かりま、あっ、うん!......んっと、なんか照れるねこれ』
「めっちゃ分かる(笑)」

 

 

誤魔化すように用意されていたジャスミンティーをこくり、と飲み干してしまう。じっと見詰めるその視線は物欲し気。......欲しい、のかな?

 

 

ジャスミンティー飲む?』
「!え、!あ、いや、...」
『パックだからすぐ出来るよ』
「あ......、そっか、そっちか」
『?』

 

 

なんで健人くんの耳の縁がほんのり染まっているのかは分からず。またまたお洒落なカップハーブティーを注げばゆらり、と湯気が空気に溶け込んだ。

 

 

『どうぞ』
「ありがとう、.........あっつ!!」
『えっ、!?大丈夫......?』

 

 

一気に飲もうとするなんて、ふふ、世間一般のイメージであるスマートな完璧王子様以外におっちょこちょいな一面もあるんだ。

 


次は念入りにふー、ふー、と冷ます健人くんは年上なのに可愛らしくて。なるほど、彼を好きな人はこうやって母性本能を擽られるのか。

 

 

「あ、自己紹介しない?」
『そうだね、じゃあわたしから、んー...、年齢は23歳でお仕事は女優業をしてます。まだまだ駆け出しなんだけどね(笑)趣味はお昼寝と映画鑑賞で、』
「待って、お昼寝?趣味だよね?(笑)」
『うん、寝るのだいすきだから』
「今日は寝ないでよ?」
『んもう、寝ません!(笑)えーっと、好きな食べ物はお寿司で、お酒も好きです、......おわり!』

 

 

ぱちぱちと拍手をくれる健人くんは本当に話しやすい。いつもはもっと人見知りな筈なのに、もうこんなに仲良くなれたのは彼の距離の詰め方が上手いからだろう。

 

 

「じゃあ、えー...、年齢は25歳でSexyZoneっていうジャニーズのグループでアイドルやってるんだけど、、知ってたり、?」
『します、もちろんです』
「痛み入ります」
『ふふ、趣味は?』
「趣味は俺も映画鑑賞なんだよね、2人で色んな映画観れたらいいよねここで」
『っ、あ、そうだね、』

 

 

そっか、わたしこれからここで7日間健人くんと暮らすんだ。今更健人くんの言葉に実感する。

 

 

「もう部屋の中見た?」
『ううん、探検してみよっか』
「うわー、なんかドキドキする」

 

 

2人にしては少し広い部屋には、同じくお洒落なダイニング、綺麗なゆったりとした洗面所、何故か透明ガラスのお風呂(......これはお風呂の時間違えて入らないように要注意しなきゃ)、そして、

 

 

『っ、〜〜!』
「おお...、そうだよね、"ダブルベッド"だもんね(笑)」
『はは、そ、だね』
「......1回寝てみる?」
『...うん、』

 

 

何処と無く気まずいような、恥ずかしいような。寝室に漂う雰囲気はこのベッドのせい。

 


ゆっくり倒れ込めばギシ、とスプリングが音を立てて。隣に寝転んだ健人くんの匂いが今日はじめて香る。それは甘さの中に柔らかさと爽やかさが漂う、健人くんらしい香り。

 

 

『どうしよう、今日寝れないかも、、』
「んはっ、ねぇ、そういう事言われたら余計にまた意識しちゃうから!」
『だ、だって、......』
「ん、まあ俺も寝れるか分かんないけど」
『?...あ、わたし寝相だけはいいの!』
「ふはっ、寝相は心配してないよ、ただ隣にこんな綺麗な女性いたら緊張しちゃうなあと思って」

 

 

ちらり、と寄せられた視線に心臓が今日一大きく狂い出す。そんな風にさらっと言うなんて、いくらお世辞でも反則。恥ずかしくなってもごもごと口篭れば、誤魔化すように健人くんに背を向けた。

 


......夜が来るのが、いつもより遅くなればいいのに、なんて。

 


思っても叶う訳は無く。

 

 

『お風呂お先頂きました...』
「おかえり、お水要る?」
『ううん、自分でやるから大丈夫だよ』
「いいから座って待ってて」

 

 

もこもこのハーフパンツから伸びた素足に冷えたソファの革が気持ち良い。

 


夜ご飯のハンバーグ、上手くいってよかったな。思った以上に健人くんが不器用で、ガタガタになっちゃったけど、なんて思い出し笑い。

 

 

「なんか面白いものでもあった?」
『んふ、ハンバーグの形が、』
「いやあれかなりムズいからね?逆に○○が器用なだけだから!」
『え〜、うーん、そうかなあ?(笑)』
「あ、もうこれあげれないわ」
『えっ、嘘です!ごめんなさい!』

 

 

ひょい、と持ち上げられたコップに思わず手を伸ばせば初めて指が触れて。至近距離で見詰め合う。あ、いまわたし、

 

 

「......すっぴんも綺麗だね」
『っあ、あんまり見ちゃ...だめ、』
「えー、なんで?かわいいじゃん」
『、〜〜!恥ずかしいからだめ!』
「じゃあ寝てる時に見よっと、それなら恥ずかしくないし」
『ちょ、健人くん......?!』

 

 

悪戯っ子みたいに笑ってお風呂場に消えた健人くんは頬を膨らませる。渡されたお水を飲んで、ふう、とひとつ溜息。

 


今この瞬間もカメラに映ってるって不思議、視聴者やファンの方はどんな反応だろう、明日はどんな一日になるんだろう.........そんなことを考えてるうちに、寝てしまって。

 

 

「...○○、......○○、」
『んぅ、、』
「んう、じゃないの、こんな所で寝たら風邪引くよ?」
『あ、健人くん...、おかえりなさい』
「もう寝よっか、ベッド行く?」
『......うん、』

 

 

ぺたぺたと廊下に2つの足音が響く。ふわっと香ったのは同じシャンプーの香り。目の前を歩くのはお揃いのパジャマの健人くんで。......同棲って、こういうことなんだ。

 

 

「壁側と外側どっちがいい?」
『どっちでも大丈夫だよ』
「じゃあ俺壁側で、○○のこと落としたら悪いから(笑)」
『ふふ、蹴らないでね?』

 

 

壁側に健人くんが寝転ぶ。わたしも寝なきゃいけないのは分かってるんだけど、指先までドクドクと血が巡って。あからさまに緊張した顔だったのか。健人くんが少し眠そうな、とろんとした瞳の際にクシャッと皺を寄せる。

 

 

「俺もね、緊張してるから大丈夫」
『、っ......』
「ん、どうぞ、」
『お、邪魔します...』

 

 

解すような柔らかな低い声と、捲り上げられた毛布に誘われて、そそくさと身体を滑り込ませる。

 

 

『そっち狭くない?』
「大丈夫だよ」
『えっと、...電気消すね』
「ん、ありがと」

 

 

ぱちん、音と共に暗闇に包まれる。あまり見えなくなった分、香りとか体温、腕が動いた時の感覚とかを余計に意識しちゃう。

 

 

「明日は仕事?」
『うん、20時くらいに帰って来れると思う、...健人くんは?』
「俺も仕事だけど明日は夕方くらいに終わるからさ、ご飯作って待ってる」
『えっ、でも......いいの?』
「期待してて、今日の分取り返すから」
『ふふっ、ガタガタのハンバーグね』
「ねえ○○マジでさ(笑)」

 

 

くすくすと笑い声が響く。他には誰もいないのに、まるでバレないようにひっそりと。

 


暗闇に漸く目が慣れてきたその時、毛布の中でつんつん、と袖が引かれる感覚。驚いて健人くんの方を見れば、そっと唇に人差し指を充てて。

 

 

「そろそろ寝よっか、.........おやすみ」
『ッ、...おやすみなさい、』

 

 

......今の、なんだったんだろう。胸の奥がキュンキュン締め付けて苦しい。仕事、なのに。

 


緊張もあってかなかなか寝付けなくて。健人くんに背を向けるように寝返りを打つ。すると反対側でもゴソゴソと音がして。......もしかして、健人くんも本当に眠れてない?

 

 

" 健人くん、まだ起きてる...? "

 

 

そう問い掛ける勇気はまだわたしにはなくて。

 


カーテンの向こうの世界が白み始めた頃、やっと眠りについた。