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恋 #5

 

 

けんしょり連載#5。激裏。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あの衝動的な夜から2日、何となく勝利くんとの関係が少し変わった気がする。キスもそれより甘美な行為もあれっきりなのに。確実に以前より距離も近いし、同じ部署の人には"やっと付き合い出したの?"だなんて言われて。傍から見れば勝利くんとわたしは恋人っぽく見えるんだ、と不思議な気持ちになった。

 


その一方で健人くんとは連絡を取っていない、というよりわたしが未読無視してしまっている。アプリを開けば下の方に〈○○ちゃん、話したいから時間ちょうだい〉という言葉が羅列されていて思わず溜息が洩れる。あの日勝利くんの手を引いて目の前から逃げたのに、会ってなんて言えばいいんだろう。もしバレたら、健人くんはどんな顔をする?わたしのために1ミリでも感情を動かしてくれるのが少し嬉しい、なんて片想いの果てすぎてメモに憂鬱をぐしゃぐしゃと殴り書き部屋のゴミ箱へと投げ捨てた。

 

 

 

 

 

 

 


『しょ、勝利くん、わたしお腹が...』
「え、大丈夫?じゃないか、えっと、薬...あ、お水もいるよね、」

 

 

出勤から数時間。時間よ止まれ、と幾ら念じても無情に針は進む。今日は健人くんとのお仕事の最終日で遂に集大成のCM撮影。今までプロジェクトに参加してなかった勝利くんも今日だけアシスタントに回る。健人くんに会いたくて仕方ない反面どうしても行きたくなくて、ついた嘘におろおろと狼狽えるのを見て罪悪感を感じつつもその慌て具合に思わず吹き出す。

 

 

「え、?なに?」
『ふふ、だって、すごい慌てるから』
「...当たり前じゃん、○○のことだし」

 

 

○○のことだし、という言葉が、好きな人だし、と勝手に頭の中で変換されて困る。熱を帯びているだろう頬を誤魔化すように俯けば"ていうかお腹痛いのは?"と痛いところを突かれる。

 

 

『...えへ、』
「うわ〜、絶対仮病じゃん、騙されたんですけど?」
『ちょ、しょりく、やめへよ(やめてよ)』

 

 

むにゅ、とやわやわの頬を押し潰され唇が突き出る。絶対今変な顔してる。離して、と腕を伸ばそうとした刹那、言葉を発する前にその手がパッと離れる。

 


勝利くんの目線の先には、今日もサラサラのゴールドを揺らす彼がいた。口許には微笑を称えつつも瞳の奥は確かな冷たさを宿している気がして。別にこれだけでバレる筈もないのに背中に変な汗がたらり、と流れる。

 

 


「○○ちゃん」

 

 


ああもう、そんな甘い声で呼ばないで。少し、ほんの少しだけ貴方から離れたつもりだった心がまた磁石みたいに、もう二度と離れたくないと言うように吸い寄せられてしまうから。

 

 

『けん、...中島さんお疲れ様です、本日はよろしくお願いします』
「、うん、こちらこそよろしくお願いします、いよいよだもんね」

 

 

なんとか仕事モードにスイッチをカチリと切り替え控え室に案内する。去り際ちらりと一瞥した勝利くんの顔が何故か頭にこびりついて忘れられなかった。

 

 

「こちらが中島さんの控え室になるので、準備が整うまで少々お待ち下さい」

 

 

マネージャーさんが挨拶回りに行ってもビジネスの口調を崩さないのは、今はこの間のことは踏み込まないで、というわたしなりの合図で。小さな願いさえもさらりとかわされれば閉めたばかりの扉を背に所謂壁ドン状態になる。

 

 

『な、!中島さん、今はダメ、です』
「健人、でしょ?」
『っ〜、!』
「なんで返事くれなかったの?...もう俺に飽きちゃった?」

 

 

頬に手をあてながら目を覗き込む健人くんの表情は到底不安気じゃなくて、寧ろ満ち溢れた魅力を存分に纏っている。わたしが飽きたなんて絶対に思ってないのに、ほんとズルい。でもそんな所もどうしようもなく好きだ。"○○ちゃん答えて?"、健人くんの独特の雰囲気に飲み込まれそうになったその時会社用の着信音が甘ったるい空気を裂いた。

 

 

「、はい、...えっ?分かりました、はい、はい...お伝えします、っぁ、、何でもないです、」

 

 

電話の内容は機械の不具合で待ち時間が延びるというもので。健人くんもわたしも待機を言い渡される。話に集中していれば不意に首筋に柔らかな熱が触れ思わず声が上擦る。だめ、と肩を押して拒むのに抵抗をものともせず唇は反対側の耳に到着し、ちゅ、とリップ音がなる寸前に通話終了のマークを急いで押した。

 


今日の健人くんは変だ。変、というかいつもと違う。人目につく場所なのにまるで2人ぼっちの空間のように名前を呼ぶし、今だって危うく怪しまれるところだった。大胆でどこか掴めないように自由な反面、リスク管理には人一倍厳しい印象の彼なのに、一体今日はどうしたんだろう。

 

 

『っ健人くん、機械トラブルで、』
「ん、聞こえてた、ちょうど良かった...それにやっと名前呼んでくれたね?」
『、ッ、ん、』

 

 

その言葉に彼の掌に今日も囲われたことを認識させられてしまう。蜘蛛の罠にまんまと嵌った蝶ってこんな気持ちなのかな。ちょうど良いって何のことだろ?そんな疑問は最初から深く重なり合わさった唇に食べられる。僅かな隙間を見つけて侵入した舌は慣れたように小さな咥内を欲と唾液で溢れさせる。ぷつん、と2人を紡ぐそれが途切れれば控え室の奥へと手を引かれた。

 


するり、と服の中に忍び込んだ手はそのまま膨らみを捕らえる。まさかここで?いつ誰が来るかも分からないのに、絶対ダメ。そう思う心とは裏腹に健人くんに髪の先から爪まで快楽を教え込まれ調教された身体は素直に反応してしまう。公共の場で胸の締め付けを外され開放感と共に先端に刺激が走る。徐々に確かな興奮を引き起こすように優しく指の腹で先端を擦られ、もう一方はこりこりと根元から虐められれば密室に押し殺した声が小さく響いた。

 

 

『、んっ、ぁ、...ふ、』
「一生懸命声抑える○○ちゃんもえっちでかわい、」
『ン、や、〜〜、!』
「ふふ、きもち?」

 

 

やわやわと白い膨らみを揉まれながら軽く噛んだ下唇をちゅう、と優しく吸われる。それを合図に服の中から手が抜かれる。その腕は優しくそっとわたしを抱き締め、健人くんの顔が首元に埋まり見えなくなった。

 

 

 

「...あの日、本当に仕事だったんだよ、信じてもらえないかもしれないけど......、彼女に誘われてホテルには行った、でもそんな気になれなくて、、ね、これってさ、」

 

 

 

珍しく弱々しく上擦ったトーン、先程からトクトクと小さく刻む心臓の音と火照ったような身体の熱が触れた部分から伝染する。今までにない雰囲気の中、言葉の続きに耳を研ぎ澄ませたその時、小さく戸惑う声が健人くんから洩れた。

 


同時にくるりと強引に回されうつ伏せになった身体は突如外気に晒され背中が露になったことを知る。状況が分からないまま すー、となぞる指にぴくん、と肩が震えた。

 

 

「......さっきの彼?あの日一緒に居たの」
『、?え、と...うん、』

 

「そう、じゃあこの跡も彼がつけたんだ、」

『、ひ、!ぁ〜〜ッ、んん!』

 

 


指先から一気に血の気が引けば心臓が一度嫌な音を立てた。振り返るのを許さないように肩甲骨に強めに噛み付かれる。キリリ、と痛むそこに舌が這わされれば甘い痺れに変わり下腹部が疼く。無言のままいきなり下着を下ろされれば滑りを確かめるようにぬるぬると蕾に触れた。

 

 

『ん、ぁ、〜〜、!んン、』
「いい子にしててって言ったのに」
『ごめ、なさ、ッあ、!』

 

 

健人くんも悪い子だったのに、わたしだけじゃないでしょう?、ねえ、さっきの言葉の続きが聞きたいの、そんな言葉は決して世界に落ちることは無く鼻がかった矯声に代わる。合意も無いモラルも無い行為なのに花弁ははしたなく蜜を溢れさせる。蕾の尖端をねっとりと愛撫されれば肌が粟立ち絶頂が近いことを告げた。

 

 

『っ、けんと、く、だめ、あ、あ、〜〜ッ』
「びしょびしょだしもういいよね、...挿れるから、」
『待っ、!んぁぁあ、!ン、〜!』

 

 

びくびくと震え達した腰を掴めば容赦無く盛った猫のような体制にさせられ、いつもなら指で慣らしてくれる中を強引に健人くんの怒張が分け入る。性急なそれは奥までずっぽりと埋まり耐えるように襟元を強く噛んだ。

 

 


「カタチ、違うんだけど」

 

 


もう何の嘘も誤魔化しも通用しない。返す言葉も見つからなければ、"...ムカつく、"、と噛み締めるような声を洩らした健人くんにやっと初めて、本当の健人くんを見付けた気がした。

 

 

『ん、ふ、〜〜、ぁ、らめ、!』
「鍵かけてないから声我慢しなきゃ誰か来ちゃうよ?あの彼とか、ね」
『、?!、や!ぁ、ああ、ン、っ』

 

 

イヤイヤ、と髪を振り乱せば気に触ったのかぢゅう、と背中に吸い付かれる。恐らく勝利くんが残したのであろう跡を上書きしているはずのそれは痛みを感じる程強いのに、緩やかに打ち付けられる腰の動きに翻弄されその痛みが緩和される。全部つけ直した頃には結合部はグズグズに蕩けきっていた。

 


もしかしたらマネージャーさんが帰ってくるかも、廊下を通った誰かが声を聞き付けて入ってくるかも、それがもし勝利くんだったら、わたしはどうするんだろう。でもきっとわたしにとっては、社会的な地位を失うことよりも健人くんに今感情をぶつけられて愛されていることの方が大切で。健人くんとなら失敗してもいいんだ。

 

 

「っ締めすぎ、こんな状況で興奮するなんて○○ちゃんの淫乱、、誰がそんな身体にしたんだっけ、?」
『ぁ、けん、と、く、〜〜〜!』
「ん、そう、...ぁ、ねえ、ここは愛してもらった?」
『、ひ、!らめ、そこは、ンぁああ、ッ』

 

 

落ちかけていた腰をぐ、と引き上げられれば更により奥に健人くんが侵食する。ぐちゅん、!と厭らしい音を立てながら触れた子宮の入口、所謂ポルチオは健人くんに開発された場所で。ぶにゅぶにゅと柔らかく解れたソコに硬くなった尖端がコツコツあたれば瞼の裏がチカチカと弾けた。ここを責められたらいつもずっと軽くイった状態になってしまう。ぎゅうぎゅうと締め付けるナカを激しく出入りする健人くんの指が真っ白なお尻に食い込んだ。

 

 

『あ、あ、も、〜〜ッ、!』
「、は、またイったんだ、?」
『ふ、あ、ぁあ、っんン、〜〜〜!』
「ッく、、...俺も、イ、」

 

 


びくびく、とナカで震えたそれは白く濁った欲を吐き出す。少しの間背中にぎゅ、と抱き着いた健人くんに、初めて一度も顔を合わせずに抱かれたことに気付いた。抜かれたソコはぽっかり穴が開いたみたいでなんだか寂しくなる。やっぱり無言のままの健人くんが下着のホックをはめ直してくれ、乱れた身なりを整えた。やっと顔を向かい合わせた時、健人くんの酷く冷めた表情に身体が石のように固まる。

 

 

『け、健人くん、』
「○○ちゃん、ちょっと早いけど今までありがとう」
『なに、言って...』
「もう今日で仕事終わりだし、ちょうどキリもいいしさ」

 

 

その言葉の意味を分かりたくないと心の中で泣き叫ぶ。いつか、そう恐れていたその時がやって来たんだ。指先は自分のものじゃないかのようにぶるぶると震え、その震えは唇にまで移る。締まる喉の奥から絞り出した声は涙に濡れとても聞いていられるものじゃないった。

 

 

『や、やだ、!健人くん、もう絶対他の人としないから、!許して、おねがい、おねがいだから、わたしを捨てないで、何番でもいい、健人くんのそばに居られるならそれで満足だし文句も言わない、だから、』

 

 

縋りついた手は優しく、だけど明確に拒否された。その手は行き場を失って、だらん、と気持ち悪い程腕の力を無くす。

 

 

 

「ごめんね、もう○○ちゃんのこと飽きちゃった」

 

 


そっか、飽きたのは健人くんだったんだ。
はは、ほんと、ズルいや。

 

 

 

 

 

 

健人くんの顔を見ることなく部屋を飛び出す。ドアノブを回して、気付いた。いつの間にか鍵がしっかりと掛かっていたことに。失敗してもいいと思っているのは、全てを失っても捧げてもいいと思っているのは自分だけなことに。

 

 


『...すき、でした』

 

 


せめてもの強がりで過去形にしたそれを置き去りにして、鍵を開けて廊下へと踏み出した。