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さよならミッドナイト



健人くんに買われる。激裏。














こうなった理由もきっかけも特に無い。心に闇を抱えている訳でも金銭的に厳しい訳でも無い。

強いて言えば私には何も無いから空っぽな中身に一万円札の束を詰め込んで自分に価値を見出しているのかもしれない。



駅前の噴水広場の隅っこでそんな事を思いながら空を見上げた。都会は星が見えないだなんてよく言うけれど目を凝らせば小さな星達が輝いている。情緒的に宙を見上げていると大きな影に覆われた。それはまるで夜に呑み込まれて戻れなくなってしまうような錯覚を覚えた。



「君がアイちゃん?噂通り凄い美人だね、それにスタイルもかなりイイ」


蛇が舐め回すようなじっとりとした視線。名前も知らないおじさんは興奮からか鼻息が荒い。相手は別に誰だっていい。ただ、普通の人よりも美しく咲いたらしい18歳の私に見合う金額を払ってくれれば、それでいい。


『... 前払いで10万ですけど』
「君みたいな子が抱けるならそんな端金幾らでもあげるからさぁ早くホテル行こうよ、手渡し?振込?」
『一緒に行くのでATMで振り込んでください、その場で振込を確認してからで』


いつも通り業務的なやり取りをして銀行へと歩を進めようとすれば後ろから、ねえ、と声を掛けられる。高めのその声に振り向くとそこには周囲の女性達が思わず目で追ってしまう程の美しい男性がいた。



「な、なんだよ!」
「君、幾らで買われたの?」



おじさんに一切見向きもしない男性は24,25歳くらいだろうか。その年には似つかわしいブランド品のシャツや鞄、靴を嫌味なく、寧ろ品良くさらりと着こなす姿にお金がある人なんだろうな、と感じた。


『10万円』
「そう、じゃあ俺にもっと君に見合う値段で君を買わせて?」
「い、幾らだっていうんだ?!私だって10万なんて端金じゃなくもっと、」
「50万」



提示された金額におじさんの口がぴたりと止まる。そんな大金を私に出すのは本当に見合う値段だと思っているからか、それとも他に真意があるのか。探りたくてじっと見詰めれば漆黒の瞳が夜空の色に似ている事に気付く。


「どう?」
『... お兄さんに買われます』



夜が本当に私を連れ去りに来てくれたならいいのに。違うとしてもつまらない今夜を一時でも忘れさせてくれるのであれば、空っぽの中身を満たしてくれるのであれば、それでいい。

今夜はこの人に抱かれる、それだけだ。




お兄さんはいとも簡単に50万円という大金を口座に振り込んだ。そのまま連れて行かれた場所はいつも行くようなラブホテルではなく高級ホテルの上層階。



「ラブホとかあんまり好きじゃないんだよね、ロマンチックじゃないでしょ?」
『お金で買う関係にロマンチックも何もないと思いますけど、』
「はは、手厳しいね、君のこと何て呼んだらいい?」



広々とした部屋の中からはさっきまでいた場所が見下ろせてそこも輝く夜景の一部と化している。私がいつもいる場所を常に見下ろせる様な場所にいる人なんだ、この人は。そう思うと二度と会うこともないような気がして本名でいいと思った。



『〇〇、です』
「〇〇ね、俺のことは健人って呼んで」
『健人さん、』
「そう、いい子」


髪をするり、と1束指に巻きつければそこに唇が触れる。その唇は鎖骨、首筋、頬、瞼と移動して、優しく触れるのが擽ったい。こんな風に甘い雰囲気の中始まる行為は初めてだった。大抵むさ苦しい欲望を一方的にぶつけられるだけの行為だったからか、健人さんから与えられる暖かさに恥じらいを覚えてしまう。


『ん、健人さん、はやく』
「どうして?ぴくぴくして可愛いのに、ほっぺたも赤くなっちゃって... 照れてるの?」


悪戯に揶揄う笑みに耐えれなくて自ら唇を重ねる。唐突だったにも関わらずすんなりと受け止める健人さんに慣れているんだなあ、と感じた。



白いシーツに優しく押し倒されれば徐々に深くなる口付け。貪るようにくちゅくちゅと重なる唇から健人さんの唾液が流れ込んでくる。こくん、と喉を鳴らして飲み込めば褒めるかのように頭を撫でられた。


「〇〇のもちょーだい」
『ゃ、』
「いいから、ん、」


そんなことした事も無くて嫌々と首を横に振ったのに有無を言わせないように重なる唇。抵抗するように舌を押し返したのに絡め取られ、観念して長い口付けで咥内に溜まったねっとりとした唾液を健人さんへと送る。漸く唇が離れれば目の前で健人さんの喉仏が上下に動き、唾液が体内に入ったことを知らされてしまう。


「ふふ、興奮してるでしょ」
『ッ言わない、で、』
「... いいね、想像してた100倍可愛い」



服の上からすー、と身体のラインを下からなぞられればその指は膨らみに到達する。服越しに尖端を掠めた瞬間、ぴく、と腰が動く。やわやわと膨らみに刺激も与えられれば今後の展開にお腹の下の方が甘く疼いた。

服も脱がされホックもぱちん、と外されてしまえば隠す物は何も無くて。露わになった膨らみは健人さんの格好の餌食。片方の膨らみを揉まれながら尖端を口に含まれ、もう片方は指でこりこりと先を愛撫される。


『ん、...ぁ、や、』
「声も可愛いんだね、もっと聞かせて、?」
『、!ひゃ、あん、ッ』


ちゅう、と吸われたかと思えば甘噛みされて我慢していた声が漏れてしまう。さらに尖端を人差し指でくるくると弄られ時折ぎゅっと押し潰されれば身体の奥からじわじわと波が押し寄せて来る。


『ぁ、まっ、て、んん!』
「もしかして胸だけでイっちゃうの?」
『、ゃっ、止め、...ぁ、ぁ、』
「だーめ、やめない」


そのまま刺激され続けてしまえばびくん、と身体が小さく跳ねる。胸だけでイくのなんて初めてだ。ううん、こんなにも気持ちいいと思う行為自体生まれて初めて。とろん、とした瞳で余韻を感じていればいきなりショーツの上から刺激が与えられる。



『ッあ!んん、ふ、』
「なに勝手に休んでるの?」
『ぁ、ごめ、なさ...ん、ああ、!』


下着の上からすりすりと良い所を擦られれば勝手にゆらゆらと腰が動いてしまう。手つきは優しくて繊細なのに言葉は意地悪で、アンビバレントな快感に身体だけでなく思考も侵される。誘っているようなその動きが止まらなくて、健人さんに触れて欲しくて手を伸ばす。


「どうしたの?」
『んぅ、意地悪しないで、くださ、ぁ』
「〇〇が可愛いからだよ?ほら、触って欲しいなら自分で脱いでお強請りしてご覧?」


内股をやわやわと揉まれながら耳許で囁かれれば羞恥心より快楽への気持ちの方が勝ってしまう。ショーツを下ろして健人さんの手をびしょびしょに濡れたソコへ持って行く。ぬるりと滑った中指が蜜を纏って核心に触れる。そのまま擦られるだけでもいっぱいいっぱいなのに、人差し指と薬指で肉を広げられればぴん、と勃った核心が剥き出しになる。


「もっと気持ち良くしてあげる」
『、!ひゃあんッ、あ、あ、!〜〜ッ』



そこからは健人さんに翻弄され続けた。皮を剥かれしゅっしゅっと擦られれば何度目か分からない絶頂を迎える。イったばかりの敏感なソコを厚い舌でぴちゃぴちゃと刺激されながら蜜壷に細長い指が差し込まれる。じゅるりと蜜を吸う音と共に奥の方をコツコツと指でノックされればまたイってしまった。


カチャカチャとベルトを外す音にそわそわする。下着を脱げば健人さんのそそりたったソレがぶるん、と出て思わず目を伏せる。


そんな私に可愛いね、と健人さんが笑みを浮かべれば胸が切なく締め付けられる。
健人さんはまるで恋人を抱くかのように私を抱くから、錯覚してしまいそうで怖い。



「... なにか余計なこと考えてる?」
『え、と、...何でもない、です』
「... 大丈夫、何も考えられなくしてあげるから」
『、んああ!ぁ、ゃ、おっき...、ふ、』



健人さんの熱いものが押し当てられればぐ、と肉壁の中を押し入って奥へ奥へと進む。苦しそうな顔をした健人さんのことを愛おしいと思ってしまう。その色白な頬に手を寄せれば手繰り寄せて甲に唇が触れた。そのままシーツに手が縫いつけられたのを合図に健人さんが動き出す。


『ん、〜〜ッあ!けん、と、さ、』
「、っ、〇〇... 痛くない、?」
『んぅ、き、もち、っは、んあ、』



気遣ってくれる言葉が嬉しくて更に快感が増す。知らなかった、一時的にでも愛情を持って抱かれることがこんなに気持ちいいなんて。知りたくなかった、こんなに甘く締め付けられる気持ちなんて。

今まで散々身体を売ってきたのに、たった一度抱かれただけで、私は健人さんに堕ちてしまったんだ。



『あ、あ、んんッ!〜〜ぁ、それらめぇッ、』
「イイ、の、間違い、でしょ、!」
『ひ、あ、!けんと、さ、んッ』


俯せにされて腰を掴まれればずちゅん、!と最奥を突かれる。バック‪‪で密着度が上がったせいかぷにゅぷにゅと子宮口と健人さんの尖端がキスをするように触れ合った。

接合部からこのまま1つに溶けて跡形もなくなってしまえばいいのに。

健人さん、すきすきすきすき、すき。
こんな関係報われるはずがないと知りながらも願わずにはいられない。苦しい。



『ぁ、も、...ッ!イっちゃ、ああ、!』
「俺も、っ、く...!」


0.01ミリの膜越しに熱が出される。どくん、どくん、と健人さんのソレが痙攣すれば後ろから強く抱き締められた。少ししてずるり、と抜かれれば心までぽっかりと穴が空いたような気がした。



後処理を終え横たわる健人さんが枕の代わりに腕を頭の下に差し入れてくれる。胸元にすり寄れば激しかった行為のせいか一気に眠気が襲ってくる。微睡みの中でぽつり、と言葉を零した。


『健人さん、好き、...』





翌朝。

身を起こして辺りを見渡せば昨晩共に過ごした人の姿はなく、代わりに紙切れが1枚置いてある。そこには容姿とは似つかわしいお世辞にも綺麗とは言えない字で、

"昨晩はありがとう。またいつか。健人"

と書かれていた。


まだあの人の香りが残るシーツを手繰り寄せ外を見れば、夜は何処かにすっかり消え世界には朝が来ていた。