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恋 #4

 

 

けんしょり連載#4。激裏。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから幾度も健人くんに呼び出されぐずぐずに愛される甘美な夜と、連絡もなく不安になって泣き喚くヒステリックな夜を過ごした。昼は昼で同僚である勝利くんと当たり前に気まずい。あんな事をしたんだ、もうわたしのことなんて好きじゃないかもしれないしきっと怒ってるに違いない。そう思うと話し掛けられても何だか避けてしまって。そんな日常にわたしの心は間違いなく疲れ果て磨り減っていた。

 

鈍った思考は時に正常な判断を奪う。だから今わたしは会社の廊下であるというのに健人くんの腕を掴むというタブーを侵してしまっているんだろう。驚いた顔の健人くんに人目を気にするように空いていた給湯室へと連れ込まれる。

 


「なに、どうしたの?○○ちゃんがあんな事するなんて珍しいね」
『...、ごめんなさい、あの、今日の夜って会えたりしないかな?』

 


○○ちゃん、が、なんて誰かと比べてる?
見上げる顔は迷惑そうな表情じゃなくて安心する。もしかしたら大丈夫かも、そんな小さな期待はすぐに打ち砕かれた。

 


「今日はごめんね、この後も遅くまで仕事があるんだよね...、でも絶対近々時間作るからいい子にしててね?」

 


断られた恥ずかしさに耳が一気に熱を持つのに心は冷水を掛けられたかのように冷たい。早く、大丈夫って言わなきゃ。無理に歪みかけた口角を引き上げなんて事ないように振る舞う。

 


『そっか、連絡待ってるね』
「ん、じゃあ約束のキスしていい?」
『、!でもここ給湯室だし、誰か来るかも、』

 


"ほんとはしたいくせに"、と建前の拒絶を見破られくすり、と笑い飛ばされれば秘密の口付けが交わされた。シンクの縁に手をつけば腰と後頭部に手が回ってより一層深くなる。健人くんから洩れた吐息と狭い空間にくちゅくちゅと響く水音に廊下の足音が掻き消された。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこれは仕事中なのにサボっていた罰なんだろうか。久々に仕事を押し付けられればそれはもう定時過ぎで。断る間もなく合コンへ向かった彼女に思わず溜息を吐く。帰りたいけど...やるしか無い。それに今日は健人くんにも会えないから無駄な事を考えなくて済むし丁度いい。

 

ぽちぽちとキーボードを叩き続けてるうちにかなり集中していたらしい。隣から聞こえた"物凄い顔だけど"、という声にびくん、!と肩を揺らせば、キュヒッと笑う勝利くんが頬杖をつきながらこっちを見ていた。

 


『しょ、勝利くん、なんで』
「そんな幽霊見るような顔で見ないでよ、...○○が俺のこと避けるから残業してるの聞いて戻ってきた」
『、避けてなんか、...』

 


いや、避けてないは流石に無理か。思い直して素直に謝れば下げたつむじをぐ、と押され鈍い痛みが走る。"普通にしてよ、寂しいじゃん"、と眉を下げ笑う勝利くんはきっと可哀想なくらい優しすぎるんだ。あの日のように残業を手伝ってくれた勝利くんのおかげで本来なら終電に間に合うギリギリくらいだった量が22時過ぎに終わった。

 


『勝利くん本当にありがとう、この借りは絶対に返すからね』
「借りっていうか...お礼、欲しいんだけど」
『なになに?何でも言って!』
「今から1杯付き合ってって、ダメ?」

 


仔犬のようなきゅるん、とした瞳に下唇を軽く巻き込んで見詰められれば駄目なんて言えるはずもなくて。"...だめじゃないよ、わたしにご馳走させて?"、その言葉に安堵し目元に皺を寄せて嬉しそうに笑う。あの日勝利くんに背を向けたのだから今だってちゃんと突き放さないといけないのに。健人くんしか見えていないのに思わせ振りな態度をとる自分に嫌悪感が募った。

 

 

 

 

 


「ここ曲がったところにめっちゃ美味しいとこあんの、絶対○○好きだから!」
『え〜楽しみ、勝利くんわたしの好み外さないからなあ』
「好きな子の好みなんて常識でしょ」

 


さらり、と意識させるようなことを言ってのける勝利くんに心臓が跳ね隣を見てもその視線は合わない。ただ言葉の印象とは反対に少し緊張したように睫毛が震えていて素直に可愛い、と思った。もしこのまま勝利くんのことを好きになれたらどんなに穏やかな日々が待ってるんだろう。

 

ふと、勝利くんから視線を横にずらし、息がとまる。心臓がぐちゃぐちゃに引きちぎられたかのように痛い。なんで、と洩れた声に勝利くんが視線の先を追う。そこには赤のタイトスカートがよく似合う大人な女性の腰に手を回す、仕事のはずの健人くんがいた。

 

目の前の高級ホテルに入るのであろう健人くんと一瞬視線が絡む。え、と驚いたように愛おしい瞳がまんまるに見開かれ1歩此方に踏み出す、と同時に踵を返し勝利くんの手をとって必死にヒールを鳴らしながら夜の街を走り路地裏に入り込む。傷付いた筈の心はまだ初めて健人くんを拒絶したことに戸惑い後悔し焦るのだから、わたしは健人くんに堕ちるところまで堕ちてしまったんだろう。

 


『...勝利くん、ご飯また行けなくてほんと、ごめんなさい』
「そんなの今いいから、...ねえ○○、もうやめよ?」

 


その正論を聞きたくなくて、わたしには真っ直ぐすぎる一途なその瞳から逃れたくて。耳を塞いで目を瞑ればまるごと受け止めるかのようにそのまま強く抱き寄せられた。身を捩って抵抗しても男女の力の差を前にすればそんなの無意味でしかない。

 


「もう十分、頑張ったじゃん」
『ッ、やめれないの、引き下がれないの、そんな簡単に諦められる好きじゃないの、!』
「じゃあ○○は幸せなの?毎日あんなに苦しそうなのに、...もう見てらんない、俺を選んでよ、絶対○○のこと幸せにするから」

 


部屋にいる時のようにヒステリックに泣き叫んでも引くどころか、こんな細い身体のどこから力が湧くのか不思議なくらい抱き締められる力は強くなる。幸せにする、その言葉に違和感を抱いて気付く。ああそうか、そうだ、わたしは、

 


『健人くんの隣にいれれば幸せで、それだけがわたしの幸せで、!健人くんじゃなきゃ幸せに、』
「じゃあ今何で泣いてんの」

 


譫言のように呟けば途中で遮られる。その言葉が理解出来ず瞬きを一度すれば視界がぼやけた。ぐわん、と歪む勝利くんのスーツと冷たい頬にやっと自分が涙を零したことに気付く。

 

うそ、本当はきっと幸せじゃない。これで幸せ、これが幸せなんだって思わないともう頑張れないんだ。何もかも投げ出して健人くんのことを忘れてしまいたいのに忘れられない。逃げてしまいたいのに雁字搦めになって逃げられない。今口から飛び出しかけている言葉が優しい勝利くんの好意に漬け込んだ最低で狡くて、決して許されないことは分かってる。それでもこの熱に縋って一夜だけでもいい、さっきのことも健人くんも何もかも忘れさせてよ。

 


『も、やだ、勝利くん、...もう全部全部やなの、お願い、今夜は一緒にいて、?』
「、!」

 


昼間健人くんと抱擁した身体で他の男の人に縋り、数時間前に健人くんと重ねた唇を不器用に勝利くんに押し当てた。崩壊した貞操観念は虚無感と背徳感を路地裏に齎す。勝利くんの欲を引き起こすように自ら舌を差し込めば最初戸惑っていた舌は意志をもって密接に絡まる。いつの間にか立場が逆転すると咥内をぐちゃぐちゃに勝利くんの唾液で犯された。

 

 

「俺、○○が思うほど優しくないから 」

 

 

勝利くんは、初めて見るような男の、雄の顔をしてそのアーモンド型の瞳の奥は鋭く欲の色を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

そこらへんのホテルを見渡した勝利くんは1番良さげな所を選ぶ。パネルで選択したいかにもラブホテルです、みたいな部屋はいざ入ると生々しくて。わたしに好意を持ってくれてる同僚である勝利くんと、何て事をしてるんだろう。思わず立ち竦めばぐい、と腕を引かれベッドに強引に押し倒された。

 


「やっぱりだめ、なんてだめだよ」
『、しょり、くん、?』
「言ったでしょ、俺優しくないから、今更○○に拒否権なんてないの」

 


先程の熱を思い起こさせるように歯列をなぞられれば身体は正直に欲の言いなりになってしまう。舌出して、という勝利くんにイヤイヤと首を横に振れば"俺のこと誘ったのに?"という直接的な表現に羞恥が蘇る。ほら、と言うように親指で顎を上げられおずおずと舌先をちろっと出せばすぐに呑み込まれた。舌だけが絡み合う隠微さに酔えば性急にボタンもスカートのホックも外される。

 

『んん、ふ、ゃ、見ないで、』
「なんで?こんなに綺麗なのに、無理」
『〜、ひゃ!ぁ、んン』

 

肌の滑らかさを味わうように舌が這えばぷつ、とホックが外される。浮いたそれを口で咥えて腕から抜く勝利くんはあまりにも妖艶で頭がぼうっとなる。ん?、と口端を吊り上げる勝利くんは普段自分の顔に無頓着だと言いながらもその美しさを利用しているんじゃないか。先端をちゅう、と吸われ口の中で飴玉のように転がされ、反対はフェザータッチで弄ばれながら興奮と快感の狭間にそんな事を考える。

 

「考え事?余裕だね、」
『〜〜、や!ちが、!』
「もっと俺でいっぱいにしてあげる」

 

何かを勘違いした勝利くんは舌先でぐりぐりと先端を虐めながらその手はショーツの上から敏感な所に伸びた。ぐ、と沈めば蜜が下着を通り越して勝利くんの指先を濡らす。カリカリと爪を立てて蕾を引っ掻かれるともどかしい快感に腰は浮きくねらせてしまう。早く、もっと勝利くんでいっぱいにして欲しくて肩口のシャツを握れば伝わったのかするするとショーツが降ろされた。

 

羞恥を感じる間もなく男らしい指が濡れそぼった花弁に触れる。それだけでくちょ、と音を鳴らしたソコに"○○ってこんなに感じちゃうんだね"、と長年の関係を意識させるようなことを意地悪に耳許で囁かれ淫らさに快感が増した。真っ赤に膨れた蕾は何度も往復する刺激に耐えられず内股がふるふると震える。

 

『ん、ぁ、や、〜〜、!ああッ、しょり、くん、』
「、もっと名前呼んで、呼びながらイって?」
『は、勝利く、しょり、あ、んン、イ、〜!』

 

絶頂に達した身体は休む間もなく蕾を弄られ何度も肌を粟立たせる。十分熱くドロドロになった中に指が侵入すればきゅうきゅうと締め付けてしまって既に苦しい。優しく掻き乱すように動く指だけでいっぱいいっぱいなのに、何度も苛められた蕾に温かな舌が這えば太股にまでだらしなく蜜を垂らしてしまう。その蜜さえも勝利くんの舌先に掬われ内股を舐められただけでも感じてしまう身体に作り替えられれば、薄い膜を纏った勝利くんの昂りが蜜口にあてられた。

 

「逃げるなら今が最後のチャンスだけど、どうする?」

 

散々拒否権はないなんて言っておきながら最上の快感を目の前にした今にそんな事を聞くなんて狡い。でもそれ以上に心では健人くんを想いながら身体で勝利くんを厭らしいくらいに求めるわたしの方が、何倍も何十倍も狡い。ねえ健人くん、こんな姿貴方が見たら他の男の唾が吐いたわたしなんて要らないって捨てちゃう?それともあの日以来咲かない紅をくれる?どっちなんだろうね、そんな汚い事を思いながら美しい勝利くんの首に腕を回し唇を寄せた。

 

『勝利くんが欲し、ひゃ、ぁああ、!』
「今だけは俺のこと見て、?」
『ん、は、あ、しょりくん、しか、見えな、ン、〜〜ッ!』
「はあ、は、かわいい、○○」

 

次第にストロークを早め箍が外れた勝利くんは最初は浅い所を優しく行き来していたにも関わらず、今は息を荒らくしてぐちゃぐちゃの奥を抉るように突く。そんなわたしもきっと同じように目の色は快感に染まっているんだろう。枕を耐えるように掌で握れば少し乱暴な勝利くんの口付けにまたとめどなく欲望が溢れた。

 

『んん、ぁあッ、ン、もっ、と、〜〜、!』
「は、やらし、○○のナカ俺のに作り替えなきゃ、」
『きゃ、ァ、?!んン、それッ〜、らめ、あ、あ、!』

 

ぐ、と子宮近くを上から押し潰され勝利くんの形を分からされる。意識すれば余計に締め付けてしまってハッキリとした眉が苦しそうに顰められた。絶頂の予感に足の爪先がシーツを蹴り上げてぴん、と伸びる。勝利くんが膝裏を抱えもう一方は肩にかけられれば最奥に滑り込まれそのまま真っ白な世界へと誘われた。

 

 

「○○、すき、」

 

 

やっぱりわたしには真っ直ぐすぎる愛の囁きには聞こえないふりをして。

 

 

 

 

 

 

 

情事後、一緒にと誘われたお風呂を恥ずかしいからとなんとか言いくるめて1人湯船に浸かる。ぶくぶく、と子供の頃やったように泡を立てて遊んでもわたしはもう大人で。いつまでも子供だったら色んなことを考えずに欲求のまま生きられるのに。ぷかり、と浮かんだ膝に、そういえば健人くんに教えられたいつもの体勢やらなかったな、と思い出す。それは可笑しくなるくらい好きで好きで死にそうな健人くんのことを一瞬でも忘れてしまった証で。

 

 

熱いはずのお湯なのに寒さを感じたのが怖くなって肩を抱けば、先程の熱はどこかにいったかのように冷たかった。