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ブルーベリーナイツ

 

 

浮気する風磨くんと依存。
"ブルーベリー・ナイツ"モチーフ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


今日で3日、風磨はわたしの廃城に帰って来ない。現実にさよならして目を瞑れば真っ暗な世界の中で、名前も顔も知らないあの子の城にいるのだろう風磨の残像が浮かんでは消えた。

 

 

恋の幻に惑わされた理由はシーツから離れないムスクの香り。すん、と鼻を鳴らせば愛おしくて苦しくて、いない時でさえもわたしを振り回す彼が許せなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふうま、?』

 

 


いつの間に寝ちゃったんだろう......、僅かに開いた隙間から寝室へと差し込む光によって身を起こす。そっと開いた扉の先に見えた風磨の姿に、先程までの激しい情緒は一切消え、その胸へと飛び込んだ。

 

 


「あー、起こした?ごめんな」
『ううん、...会いたかった』
「俺もだよ、早く○○とこうしたかった」

 

 


ちゅ、と軽く唇を啄む風磨には知らない香りも誰かの跡もなくて。安心すると同時にその姑息な賢さが嫌いだ、と思う。

 

 


『ねえ、』
「なに?」
『ぁ、...なんでも、ない』
「は、気になんじゃん(笑)」

 

 


言い淀んだ探りの言葉を二度と出て来ないようにごくん、と飲み込む。結局、その狡さも時々儚げに揺れる睫毛も好きで仕方無くて、風磨を好きな自分のことも好きなんだからもう手の施しようなんてない。

 

 


『、風磨、抱いて?』
「ん、どしたの、積極的じゃん」
『......風磨に愛して欲しいだけだよ』
「ふは、かーわい、...ベッド行こっか」

 

 


半分嘘で、半分ほんと。傍に居たいなら、気付かないふりをして、馬鹿な道化を演じればいい。傷付かないための予防線を張り、信じるふりをするのはとてもとても、悲しいことだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから少し、いつも通りを必死に保っていた廃城はついにボロボロと崩れ始めた。

 

 

お昼の生放送番組に出る風磨をぼんやりと見詰めていて、ふと小さな違和感を抱いた。違和感の先を辿ればわたしとは正反対の大人びてうんと美人なタレントの女の子。風磨の瞳を見て気付く、.........あの子だと。かつてわたしに向けられていた瞳と愛を一心に受けるのは、この子なのだと。

 

 


「ただいまー、...って○○いねえの?」
『......、』
「あ、いた」
『居ない方が良かった、?』

 

 


鋭い言葉に少しだけ目を見開く。機嫌を損ねていると思ったのか、宥めるような猫なで声を出す風磨にゆるりと抱き締められた。

 

 


「どうした〜、なんか嫌な事でもあった?」
『っ、も、全部やだ、ぜんぶぜんぶ、!』
「○○、」

 

 


堰を切ったように風磨のお気に入りのシャツを濡らせばじんわりと色を濃く変える。

 

 

聡い彼のことだ、きっと全部が何か分かってしまっただろう。吐き出してすっきりするはずの心は鉛のように重たく、明けない夜のように暗かった。

 

 


『もう、別れるッ、、!風磨なんか、』
「......ん、分かった、○○がそうしたいなら」

 

 


嫌い、そう言いたいのに言葉にならない。こんな時だってわたしを惑わせる言い回しのあなたは本当に、狡い。離れた腕によって熱を失えば、彼が一度だけ褒めた色に染まった爪先から、よく指先で弄ばれた髪の先まで一瞬にして冷え切った。

 

 


『、......ぁ、っと、合鍵、』

 

 


ん、と躊躇無く渡された鍵の重みに鈍器で殴られたような衝撃が走り、足元がグラグラと揺れる。なにそれ、なんでそんな簡単に渡すの?、もう0.01mmの愛もわたしには残ってないの?、冷めないでよ、消えないで、まだ、愛してよ。

 

 

なんてもう、ほんと、馬鹿。

 

 

くるり、と踵を返しドアノブに手をかけた風磨の腰に腕を回す。きつくきつく、この城に閉じ込めるように。

 

 


『や、ふま、行かないで、わたしのこと棄てないで、!風磨がいなくなったらわたし、......お願い、やだやだ!』

「でも辛いでしょ?」

『ッ、辛くてもいい!もう二度とあんな我儘言わないから、...!』

 

 


浮気された挙句、これからも辞めるつもりはない、そう暗に告げる残酷な彼に縋り付くわたしはどれだけ惨めに見えるのだろう。

 

 

おとぎ話にすらならない恋でいい、風磨がいるならなんだっていい、......彼の中でそれが、愛にならなくても。

 

 


「ほんと、○○はかわいーね、泣き顔も不安そうな顔も最高に唆る、......だからさ、ずっと俺に恋しててよ」

 

 


しっかりと視線が絡み甘いハスキーが耳奥まで届けば、どこもかしこもトロトロに蕩けてしまう。まるで洗脳するみたいに瞳の奥を重ねながら唇を寄せた風磨は、わたしの全てだけれど、

 

 

長い指が狭いナカを掻き乱し、とっくに知り尽くされた弱い場所を擦りあげる。同時に脚の間で揺れるサラサラな髪を見ながら願ってしまう。

 

 


もし、運命の誰かがいるのなら今すぐここから連れ出して、わたしを救って掬って食べて。ああもう、いないなら誰でもいい、わたしを潰して舐めて、......この廃城から連れ出して。

 

 

 

 

 

 

 

END