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Christmas story book

 

 

6000over企画のクリスマス短編集。

第1夜 S.S×倦怠期
第2夜 S.M×サンタコス 激裏
第3夜 Y.M×クリスマスの朝
第4夜 F.K×甘々
第5夜 K.N×元彼 激裏

みなさま素敵なクリスマスを‪‪❤︎‬

 

 

 

 

 

Santa Claus won't make me happy / S.S

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1年目の12月25日は高級ホテルのレストランの個室でディナー、その後は夜景の綺麗なお部屋であまい時間を過ごす、なんて女の子の夢がいっぱいに詰まったクリスマス。

 


2年目は2人で外に出掛けにくくなったからお家でクリスマスパーティー。勝利の好きな物いっぱい作ったら、全部おいしいおいしいって食べてくれたっけ。

 


3年目は忙しい中で一生懸命時間を作ってくれて。せめてケーキだけでも、と眉を下げた彼が差し出したのはわたしのずっと食べたかったケーキ。

 

 

『あれ、人生で1番美味しかったな......』
「ん、なに」
『、ひとりごと』

 

 

ふうん、と納得した勝利の目線は一貫してスマホのスクリーンに向けられていて。
...もしかしたら忙しい勝利は日にちなんて忘れてるのかもしれない。そんな淡い期待を込めて、ねえ、と呼び掛けてもその目線は相変わらずスマホのまま。

 

 

『ねえってば』
「もうなに、さっき何でもないって言ったじゃん」
『......今日何日か知ってる?』
「今日?」

 

 

怪訝そうな瞳がやっと此方に向けられる。
あれ、最近ちゃんとこうやって目を合わせて話してたっけ。

 

 

「知らない訳ないでしょ、クリスマスなんだから」
『、ぁ、そっか、そうだよね......』

 

 

今わたしは何に対して同調したのだろう。今日がクリスマスだということ?知らない訳がないということ?それとも、クリスマスなのに特別な時間を過ごしていないことか。確かなのは、淡い期待は粉々に打ち砕かれたということで。

 


クリスマスだから絶対何かしたい、とかそういう事じゃないけれど。ただ、何もせずぼーっと家で過ごすだけでも十分だ。
.........もし、2人が想い合っているのならば。

 

 

「なに?何か言いたいことでもあるの?さっきから黙り込んだり喋ったりさぁ、」
『......あるよ』
「じゃあそれを早く言ってってば」

 

 

苛立ったように吐かれた溜息にぐわん、と物理的に視界が揺れる。

 


......4年目のクリスマスは、すれ違って喧嘩して泣いた日になっちゃった。

 

 

『わたし達一緒にいる意味って、あるのかな』
「、、なにそれ」
『そのままの意味だよ...』

 

 

こんなにボロボロ泣いてほんとかっこ悪い、せめて最後くらい笑顔でさよならしたかった。心の中ではそんな風に強気に思えるのに、口から飛び出す言葉は弱々しく震えた弱音ばかりで。

 

 

『も、勝利と一緒にいる意味分かんないよ、!勝利も、そうでしょ、ッ、わたしと居たって、ちっとも意味無い......っ』

 

 

堰を切ったように溢れる涙も言葉も、止めたのは勝利のあたたかな温もり。嗅ぎ慣れた香りと強く回った腕に抱き締められてると気付く。
どうして、どうして今になって抱き締めるの、、

 

 

「俺は、」

 

 

すう、と一度大きく息を吸った勝利が身体を離す。アーモンド型のくっきりとした瞳は真っ直ぐで、真剣で。心臓の核を射抜かれてしまえば、くるりと後ろを向いた勝利がクッションの辺りから何かを手にし、こっちを向き直した。

 

 

「俺は○○が好きだから○○の隣にいたい、だから意味はあるよ」
『ッ、......』
「不安にさせてごめん、でも○○のこと好きな気持ちは今もこれからもずっと変わらないから」

 

 

そう差し出されたのは、小さな正方形の箱。真っ赤なリボンを解いて開けたそこには、お揃いのデザインでピンクゴールドとシルバーの2つの輪っかが仲良く並んでいた。

 

 

『勝利、これ...!』
「クリスマスプレゼント、、なんだけど、この間雑誌で見てたのってそれで合って、ますか?」

 

 

何故か敬語だし、不安そうに上目遣いで見つめる勝利が可愛くて。思わず抱き着いて薄い唇に自分のそれを重ねれば、一気に耳が朱に染まる。

 

 

『ちゃんとわたしのこと見ててくれたんだね、ふふ、ほんとに嬉しい』
「当たり前でしょ」
『ねえ勝利、』
「ん、なに」

 

 

さっきと同じような返事。でも、全然違う。

 

 

『大好きだよ』
「、〜!可愛すぎるから、......」
『えっ、待ってもう1回言って!もう1回!』
「言いませーん」

 

 

きゅひ、といつもの笑い方をする勝利の傍にずっと居たい。
わたしを幸せにできるのはトナカイでもサンタクロースでもなくて、勝利だけだもの。

 


4年目は、とびっきり愛おしいクリスマス。

 

 

 

 

 

 

 

 

With a toy on Christmas Day / S.M

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『聡くんお待たせ〜』
「、えっ、待って待って」
『ふふ、○○サンタさんがケーキのお届けに来ました!』
「○○ちゃん可愛すぎるんだけど!どうしよう、可愛い、、とりあえず写真撮ろ!写真!」

 

 

主役のはずのケーキには目もくれずいそいそとアプリを起動させる聡くんに思わず笑っちゃう。やっぱり恥ずかしくてギリギリまでサンタコスするか悩んだけど、こんなに喜んでくれるならやって良かったな。

 


それにいざ着てみたら浮かれちゃうのが女の子という生き物で。オフショルダーのふわふわとか、普段履かないくらいの丈でひらひら揺れるスカートとか、やっぱり可愛い。

 

 

「○○ちゃん、あーん」
『ええ、恥ずかしいよ、、』
「誰も見てないから!ね!」
『......あーん』

 


口の中であまい生クリームが蕩ける。ぱく、と苺を食べた聡くんの頬がゆるゆると緩んで。

 

 

「幸せだな〜」
『ね、ほんと美味しい』
「ケーキもだけど、○○ちゃんとこうやって過ごせて幸せだなって意味だよ?」
『...わたしだよ、......だってこんなに好きな人とクリスマス過ごせるんだもん』

 

 

普段なかなか言えないような言葉がぽろっと零れてしまうのはきっとクリスマスの魔法。

 


フォークを奪われ驚いていれば、視界が一転して。サンタ帽がぱさ、と音を立てて床に落ちる。

 

 

「もう、まだ我慢するつもりだったのに」
『、聡くん、ケーキ』
「ケーキもいいけどかわいいかわいい○○ちゃんが食べたいの、だめ?」

 

 

だめかと聞く癖に、優しく頬に手を添えて、こんな風に唇を重ねられたら、...そんなの、

 

 

『だめじゃ、ない』

 

 

 

 

 

 

 

『んん、あ、...っ』
「今日どうしちゃったの?下着もう湿ってるけど」
『言っちゃ、やだ、あ』
「サンタコスで俺に抱かれて興奮してるんでしょ」

 

 

オフショルをいいことにズラされ露出した先端に舌が這う。まだ少し舐められただけなのに、確認するように触れられた下着はびっしょりとした感覚。

 


聡くんの言う通り、興奮してるのかも。
それはこの非日常だけじゃなく、いつも以上にオスな聡くんに対しても。

 

 

『ん、聡く、もう下触って欲し、...』
「かわい、、えっちなサンタさん」

 

 

ふわふわとした髪を耳に掛けて色気をダダ漏れにしながら口端をあげる聡くんに胸の奥がぎゅん、とする。中途半端に服を着たまま下着だけ抜かれるのは恥ずかしくて。もじもじと膝を擦り合わせれば、強引に脚が開かれた。

 

 

「ふふ、とろっとろだね」
『、ん、〜!ああ、っあ...』
「○○ちゃんの好きなトコいっぱい触ってあげる」
『んンん...!ひぅ、ッ、そこ、きもち、〜』

 

 

蕾の先端、わたしの特に弱い部分を蜜を纏ったぬるぬるの指で磨られれば腰が浮いちゃう。
まるでおねだりしてるみたいで、嫌なのに身体は言うことを聞いてくれない。

 

 

「もっときもちよくなろっか」

 

 

す、と腰を支えられたかと思えば唐突にぬるりと侵入した指。それは締め付ける狭いナカをグチグチと動く。お腹の裏側を引っ掻かれれば気持ち良すぎて。

 


可笑しくなりそうなくらいきもちくて、こわい...... ぎゅっと瞼を瞑って暗闇の中へと逃げ込めば、額に触れたのは唇の柔らかな熱。

 

 

「○○ちゃん、」
『聡くん、...』
「そう、大丈夫だからちゃんと俺のこと見てて」

 

 

愛しさの詰まった瞳に安心する。見つめ合いながら身体の力を抜けば、一気に絶頂へと飛ばされた。

 

 

「おいで?」
『っ、この体勢むりだもん、、』
「なーんで、」

 

 

胡座をかいた聡くんの上に座るように誘導され、ふるふると首を横に振る。膜を纏った聡くんのそれは、......いつもより、おっきくて。
それに加えてこの体勢なんて、奥まで届いてまた怖いくらいに気持ちよくなっちゃう。

 

 

「○○ちゃん、サンタさんなのにプレゼントくれないの?」
『う、、ゆっくりシてくれるなら、』
「ほら、おいで」

 

 

そんなえっちなプレゼントサンタさんがあげる訳ない、だとかそんなこと突っ込む余裕はない。

 


そろそろと跨れば、可愛らしい顔つきとはギャップのある男らしいあの手が腰を支えて。ぐちゅ、と音をたてながら挿入ったそれは一気に奥まで届いた。

 

 

『、あ、〜〜!』
「っ、ね、締めすぎ、」
『だって、奥まで、とどい、て、』
「こんなに触れ合ってるもんね」

 

 

グリグリと最奥と尖端が深いキスをするように混ざり合う。身体の芯からとろとろになって、首に必死で腕を回す。

 


一体、細い身体のどこからそんな力が湧くんだろう。身体ごとあげておとされれば、ぬぷぬぷと激しく出入りする。

 

 

『ああ、ん、!ひ、あ、ァ...っ』
「はー、かわい、喘いでる○○ちゃんってほんとかわいい......」
『〜〜っ、やあ、!おっきくなって、』
「腰ビクビクしてる、イきそう?」
『ん、あ、も、イっちゃ、』
「、ぁ、っ、一緒にイこ?」
『いっしょ、が、い、...』

 

 

予感に震える足を腰に回す。所謂だいしゅきホールド、と巷で言われるそれは確かに聡くんのことが大好きで堪らないからで。

 


自然と重なりあった口の中で舌が絡み合い、どこもかしこも混ざってひとつになる感覚。

 

 

『そうく、ッあ、〜〜〜!』
「く......、」

 

 

ぱちん、と頭の中が白く弾ける。最後に見た聡くんの表情は、やっぱり愛おしくて堪らないと言っているようで。

 

 

『聡くんのこともっともっと幸せにするね』
「ちょっと、○○ちゃんそれ俺のセリフじゃない?(笑)」
『えー、だってわたしサンタさんだもん』

 

 

今宵、あなただけのサンタさんがプレゼントするのはクリスマスのおもちゃじゃなくて、

 


とびっきりの幸せ、なんて甘すぎるかな。

 

 

 

 

 

 

I just want you for my own more than you could ever know / Y.M

 

 

 

 

 

 

 

 


「......ちゃん、○○ちゃん、」

 

 

どっぷりとした泥の底から起き上がるような感覚。昨日はクリスマスイブだっていうのにレポート徹夜でやったんだから、もう少し寝かせて、、

 


まだ微睡む意識の中でんん、と唸れば暖かな体温にふわりと包まれた。
なんか、マリの匂いがする。

 

 

「だって僕が抱き締めてるもん」
『ん、、......えっ、マリ、?なんで?』
「もう○○ちゃん何度声掛けても起きないんだもん、眠り姫かと思っちゃった」
『っあ、待って待って、すっぴん、!』

 

 

慌てて布団を被りひょこっと目だけ出せば、すっぴんもかわいい、と柔らかな茶色の瞳が垂れる。

 

 

『クリスマスは仕事だから会えないんじゃ、』

 

 

そう素直な疑問が口から飛び出せば、マリはふふん、と得意げな顔で。

 

 

「んふ、サプライズ!びっくりした?」
『も、嬉しすぎるよ......、』
「かわいい○○ちゃんのところにサンタさんが来ない訳ないでしょ?」
『ふふ、じゃあマリがサンタさんからのプレゼントだね』

 

 

ぎゅう、と広い背中に手を回して抱きつく。本当は、クリスマスは仕事って言われた時残念で、寂しくて。でも仕方ないよね、って我慢して言い聞かせてたぶん幸せで仕方ない。

 


頬をするり、と撫でたその瞳は愛おしさに溢れていて。本来2つも年下のはずのマリは最近やけに大人に見える。溢れ出る色気というかなんというか...... 段々近づいてくる長い睫毛につられて目を閉じかけてハッとする。

 

 

『こら、だめでしょ!』
「...残念、惜しかったのに」
『ちゅーは20歳になるまでしないって決めたでしょ?』
「じゃあ20歳になったらいっぱいできるね?」
『、〜〜!』

 

 

まったく、年上の余裕もないのがちょっぴり悔しい。

 


火照った頬を冷まそうと起き上がったその時、ガサ、と手が何かに触れる。ん?と振り返ったそこには真紅のリボンに包まれたいくつもの小包。

 

 

『え、!......っ、マリだいすき!』
「、ぉわ、ふふ、サンタさん来て良かったね○○ちゃん」
『うん!開けてもいーい?』
「サンタさんがいいって!」
『えー、マリ、サンタさんと話せるの?』

 

 

お茶目な返事に思わず頬がゆるゆるになって。ドキドキと胸を踊らせながらリボンを解く。その中身はわたしの好みド真ん中の赤のニットのワンピース、ふわふわのマフラー、ずっと憧れだと言っていたブランドの靴、それから......

 

 

『、!可愛い、、』
「お店で見つけた時、絶対○○ちゃんに似合う!って思ったの」

 

 

ゆらゆらとチェーンの真ん中で揺れるのは、雪の結晶のチャーム。窓から差し込んだ朝の光にキラキラと反射したネックレスは、本当の雪みたい。

 

 

『マリありがとう、......ほんとに嬉しい、』
「じゃあ今日はそれ着て遠くまでお出掛けしよ、僕にエスコートさせてくれる?」
『ん、喜んで!』

 

 

久々のお出掛けに心が踊る。どうしよう、このワンピースならマフラーもあるし、髪はアップの方がいいかな?そうだ、コートはあれを合わせて......

 

 

「○○ちゃん、」
『ん?』

 

 

考え事をしたまま振り向けば、思ったよりもマリの顔が近くて。どくん、と一度心臓が大きく跳ねる。咄嗟に身を後ろに引いても、腰に当てられた手に阻まれれば、起きた時のようにまた二人の距離が10cm、5cm、......と近付く。

 


......だめ、キス、しちゃう。
瞼を強く瞑った刹那、ちゅ、とリップ音が響く。触れたのは、唇の横すれすれの場所。

 

 

『、へ?』
「あれ〜○○ちゃん、もしかして今キスすると思った?」
『...!』
『だーめ、僕の誕生日までお預け、でしょ?』

 

 

ぱちん、と悪戯にウインクを飛ばすマリ。
完全に揶揄われた、、頬を膨らまして拗ねたフリしてみても、いつまで経っても頬は桃色に色付いたままで。

 


......どうしよう、わたしの方がもしかしたら我慢できないかも。

 


わたしだけのマリが欲しいんだ、それはきっと、君が思ってる以上。

 

 

 

 

 

 

 

Make my wish come true / F.K

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリスマスには到底不相応なスーツは煌びやかな街の中でなんとなく浮いてる気がする。

 


別にわたしだってこんな日まで仕事がしたかった訳じゃない。......ほんとは、彼氏とゆっくり家で過ごして甘い時間を過ごしたかった。
ただ、ここ数年仕事に生きてきたわたしに彼氏なんて存在いるはずもないんだけど。

 

 

『あーあ、サンタさんがいるならわたしの願い叶えてくれたらいいのに』
「知ってる?サンタさんって良い子のとこにしか来ないの」
『そっか、じゃあ風磨のとこには来ないね』
「おい、ざけんな(笑)」

 

 

憎まれ口を叩く隣の男は、入社当時からの同僚で。顔良し性格良しな彼もまた恋人がいないのは、多忙な仕事のせいだと勝手に思ってる。

 

 

『ほんとカップルばっかだね』
「そりゃクリスマスだしな〜」
『はあ、いいなあ......』
「なに、彼氏欲しいの」

 

 

ちらり、と切れ長な瞳が此方に向けられる。
その表情は、なんだか怪訝そう。

 

 

『まあ、、欲しいっちゃ、欲しい』
「ふーん...」
『わたしだってお家で好きな人とゆっくり過ごしたいし、ケーキ食べたりしたいもん』
「それってさ、」

 

 

そう言った風磨の手が合わさって。幸せそうに歩く恋人たちと同じように手が繋がれる。

 


突然の出来事に心臓も頭もついていけない。
えっ、と、......なん、で?
動揺を隠せず狼狽えていれば風磨が立ち止まる。目の前には、様々な電飾とオーナメントで彩られたおっきなツリー。

 

 

「○○のこと好きな人じゃダメなの?」
『、え......?』
「だめなのって聞いてんだけど」
『だ、だめじゃない、けど』

 

 

すっごく寒い筈なのに、繋がれた手も火照った頬も熱くて。ぐい、と手を引かれれば思っていたより厚い胸へと飛び込んでしまう。香るのは、いつもこっそり好きだと思っていた風磨の匂い。

 

 

「...じゃあ、俺にしとく?」
『、、なにこの告白の仕方、ずるすぎるじゃん』
「好きになりそう?」
『......教えないもん』
「いーよ、すぐ○○に好きになって貰う自信あるし」

 

 

会社や普段とは違う、うんと甘くて蕩けてしまいそうな声色。表情だって、見たことがないくらいに優しくて。

 


風磨の言う通り、きっとわたしはすぐ好きになってしまうんだろう。

 

 

「返事聞かせてくんない?」
『えっ、と、わたしで良ければお願いします』
「俺は○○だけがいいの」
『、〜!砂糖吐きそ、、』
「んは、いや?(笑)」
『......ううん、嬉しい』

 

 

こんな風に抱き合ってても、誰も気にしないのは今日が愛に溢れる日だから。

 


腰に回った手がさらに身体を密着させ、頬をするりと撫でられれば胸の奥がぎゅん、と締まる。風磨の気持ちに応えたくて、少しでも心の変化を伝えたくて、コートをちょこんと握った。

 

 

「.........かーわい、」
『ん、、』

 

 

一瞬だけ、軽く触れ合った唇はいつまでも余韻に浸るようにふわふわとする。
身体を離した風磨は今更ながら耳を紅くしていて、....ギャップ萌えって、こういうことか。

 

 

『耳真っ赤だよ、ふーまくん』
「っ、うるさ、......あーあ、もうケーキ買って帰んのなしな」
『えっやだやだ!ごめんなさい風磨様!』
「はいもう遅い〜、無理〜」

 

 

意地悪なこと言う癖に、歩き始めれば今度は指が絡んで所謂恋人繋ぎになる。
素直じゃない彼は、きっと今からケーキ屋さんに寄って、一緒にショーケースを覗いてくれるんだろう。

 


見渡したクリスマスの明かりは、さっきよりもキラキラを纏っていて。
それは今日が過ぎても、きっと2人の記憶の中で愛おしく光り続ける。

 

 

 

 

 


 

All I want for Christmas is you / K.N

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雑踏や車の騒音だらけの味気ないいつもの帰り道。でも今日だけは、定番の曲が流れ街路樹にはオレンジ色の光が灯っている。

 

クリスマスに欲しいのはあなただけ、か......

 

テレビで流れてきたこの曲に反応して、"クリスマス何しよっか!"とウキウキを隠しきれない様子で彼が言ったのはもう3ヶ月前のことで。

 

些細な喧嘩は大きなすれ違いに繋がった。あの時もっとこうしていれば、なんて後悔しても遅くて。過ぎ去った日々はモノクロだ。

 

結局、今年のクリスマスは1人になっちゃった。
......健人くんと過ごしたかったな、、

 

 

「...○○?」

 

 

だから、冬風に乗って聞こえた声はただのわたしの願望。幻聴って、わたしはどんだけ健人くんのことが好きなのか、自分で呆れちゃう。

 

 

「、待って、○○!」
『っきゃ、、けん、...!』

 

 

進路とは逆の方向に引かれた右腕に驚けば、大して変装もしていない健人くんに思わず名前を呼び掛ける。同じように健人くんも偶然すぎるこの状況に驚いていて。目深に帽子を被り直せば、"こっち、"と傍に止めてあった車に誘導された。

 

 

「ごめん、いきなり」
『いや、えっと、全然大丈夫......、』
「見つかる前にとりあえず車出していい?」

 

 

こくん、と頷けばゆっくりと走り出す。ラジオからは、やっぱりあの曲が流れていて。
さっき思い出したのも相まって、無言な状況が気まずい。

 

 

「この曲、前にテレビで流れてたよね」
『えっ、覚えてるの......?』
「当たり前じゃん、○○とのことなら何でも覚えてるよ」

 

 

赤信号、ブレーキを踏む。
向けられた表情は何処か切なくて。だけど、やさしく、大切そうに放たれた言葉に淡い期待が芽生えてしまう。

 

 

「あの時○○なんて答えたか覚えてる?」
『うん、』

 

 

クリスマス何しよっか、そう訪ねた健人くんに対してわたしはあの時こう言ったんだ。

 

 

『"健人くんと一緒に過ごしたいな"』
「...それって今でも有効?」
『!、...けんとく、と一緒にいたい、クリスマス終わっても、いっしょがい、......っ』

 

 

ぽろぽろと零れ落ちた想いと雫を堰き止めたのは、重ねられた唇。微かに触れ合ったまま、健人くんの吐息が掠める。

 

 

「俺のとこに戻ってきて」

 

 

青信号、また2人の道が交わり時を重ねる。
そしてゆっくり、歩幅を合わせて歩み出すの。

 

 

𓂃𓈒𓏸

 

 

それから。
健人くんのお家へ連れて帰ってもらったのはいいんだけど......

 

 

『ねえ健人くん、もう1時間もそうしてるよ?』
「だって久々の○○だよ、離れたくないじゃん」
『それは嬉しいけど、』
「...なに、○○は俺から離れたいんだ?」

 

 

ぐりぐりと甘えるように首元に頭が押し付けられる。2か月前とは色の変わった髪がサラサラと首に当たって擽ったい。後ろから回った腕がぎゅう、とお腹のあたりを拘束していて、素直に甘えてくれる健人くんが可愛くて仕方ない。

 

 

『離れたいわけないもん』
「ん、もう二度と離さないから安心して」

 

 

向かい合うように抱き直されればちゅ、ちゅ、と口付けが瞼や頬、額、そして唇に降る。僅かに開いた隙間から侵入すれば、久々の口付けだというのに遠慮のない舌に翻弄されて。

 

 

『ん、っふ、、っちゅー、久々だから、』
「ねえそれ誘ってんの?」
『、ちが』
「でももう俺誘われちゃったから、......抱かせて?○○、」

 

 

疑問系の癖に、お姫様抱っこで抱き上げられればベッドへと運ばれる。まったく、相変わらず人の話聞かないんだから。まあ、結局わたしだってそんなところも好きなんだけど。

 

 

「俺も好きだよ」
『えっ、声にでてた?』
「ううん、顔見ただけで分かるよ」
『...うん、健人くんだいすき』
「2ヶ月分、たっぷり愛させて」

 

 

𓂃𓈒𓏸

 

 

「相変わらずすぐ感じちゃうね?」
『ん、あ、あ、...!』

 

 

クロッチの横から忍び込んだ長い指は濡れそぼった花弁に触れて。やさしくそっと撫でられれば、もどかしい刺激に腰が揺れてしまう。

 

 

「腰揺れてる、えっちだね」
『や、言わな、で、〜!』
「ほんとに言って欲しくない?でも今もっと濡れてきたけど、...ほら、とろっとろ」
『あ、ひぅ、ッ......んん、』
「ね、○○のココもっと愛してあげたいからおねだりして」
『んンん、もっと、さわ、...ひあ、!』

 

 

すっと意地悪く瞳を細めればつぷ、とナカに指が侵入する。焦らすように浅い所を行き来されれば苦しくて。涙の膜で健人くんがぼやける。

 

 

「そんなのでいいんだっけ?それとも忘れちゃったのかな」
『あ、言う、言うから、やめ、〜〜っ』
「だーめ、このまま言ってごらん」
『あ、っけんとく、の指、で、○○のぬれてるとこ、こすって、?』
「......はあ、かわい、」

 

 

短く息を漏らせばぐちゅ、と音を立てながらザラザラした部分を擦られる。同時に散々焦らされた蕾も優しく磨られれば耐え切れなくて。

 


びくびく、!と大袈裟に震えた腰が果てたことを知らせる。余韻に浸るなかで、激しく貪るように唇が混ざり合い、そこから蕩けてしまうような感覚。

 

 

「もっといっぱい愛してあげなきゃね」
『あ、待っ、〜〜!んああ、ッ、ふ...!』
「きもひ、?」
『しゃべ、ちゃ、やら、あっ』

 

 

蕾がザラザラとした感覚に包まれ、揺さぶられる。話す度にカリッと当たる歯に肌が粟立って。ちゅう、と唇全体で吸われればまた絶頂を迎えてしまう。

 

 

『、あ、〜〜〜!』
「○○のえっちな蜜でベタベタになっちゃった」

 

 

荒く手の甲で濡れた口周りを拭う。
それをねっとりと見せ付けるように舌を這わせる健人くんは、悪魔的に妖艶。
ゾク、と膣が疼く感覚に思わず首へと腕を回す。

 

 

『も、健人くんが欲しい、、』
「、〜!...俺も早く○○とひとつになりたい」

 

 

素早くゴムを装着した自身が2ヵ月ぶりのそこへと分け入る。ピリリ、とした痛みさえも愛おしい。入りきった頃には健人くんもわたしも、息をきらしていて。

 

 

「、キッツ、、」
『ん、あ、......』
「ごめ、優しくするつもりだったけど無理かも、」
『ん、健人くんの、すきにして、?』
「っ、だから煽んな、」
『ひぁ、あァッ、んう、ん、!』

 

 

緩くピストンしていれば、理性の糸が切れたかのように激しく突き上げられる。だけど、ちゃんとわたしの気持ちいところに触れていて。膝裏を肩にかけられれば更に奥へと侵入する。
トントン、と子宮口と尖端が愛し合えばドロドロに溶けてしまう。

 


すき、だいすき、ありふれた言葉じゃ足りないくらい、もっと健人くんが欲しい。

 

 

『あ、あ、けんとく、すき、すき、〜!』
「っ...はあ、俺も、愛してるよ、」
『ずっと、ン、いっしょに、いてっ、?』
「、大丈夫だよ、離さないから」
『あ、も、ーーーッ』
「ん、俺も、.........っでる、」

 

 

意識がふわふわとした白いシーツの海に包まれる。傍で触れるのは、ずっとずっと恋しかった温もり。

 


愛してる、ともう一度だけ呟いた唇が重なる。
それはまるで、聖夜の誓いのキスだった。

 

 

 

 

 

 

FIN ✩.*˚